2023年09月21日

マーラー: 交響曲第1番 バルビローリ

お彼岸が近づいて、流石に秋の息吹も感じられるようにはなってきたもよう。でも最高気温は未だ連日30℃を超え、該当日の記録を更新中とか。
温暖化は明白なのだけれど、CO2排出が本当に原因なのか・・・?
自分は(努めた企業で)そのCO2排出削減に関する技術リサーチ、技術開発を行ってきたけれど、その経験あるも、最近は少々あきらめ気味というか…。

地球の温度上昇は各地での干ばつや山火事を生み、それ自体がCO2排出に拍車をかけています。
そしてU国での戦争。
戦禍は農業行動を差し止め、広い大地での耕作によるCO2吸収を妨げています。そして、戦闘による爆弾・・・>爆薬のTNTは化学式C7H5N3O6であって、爆発の連鎖反応自体ではCO2排出はあまりないらしいのですが、放射する熱により爆薬自体の炭素だけでなく、周辺の有機物をも焼くつくしてしまいます。
戦争によるCO2排出については言及があまりなされていないと思いますが、正直かなり膨大なものと想像されます。
ここ数年コロナによって人の行き来が途絶えて、運良く輸送物流由来のCO2排出が大幅減少となってきていたというのに、たったひとりの独裁者のせいで…。嘆かわしいことだ。

Baribi.jpg
ジャケ写真はSpotify再生画面からの切り取りです

閑話休題
連続聴きしたくなったマーラー1番の話題を進めましょう。これにあたっては、お気に入りのデジタル録音を数種確認済でして、それが、
・セーゲルスタム/デンマークRSO
・ガッティ/RCO
・マゼール/フィルハーモニアO
・エッシェンバッハ/ベルリン・ドイツSO
・テンシュテット/シカゴSO
でありました。いずれも巨匠的、マーラー独特のねちっこさを湛えた重い演奏たちでした。

でも今回は、そういうのではなく、マーラー演奏の黎明期というか、1950年代から60年代なかばまでの演奏を追ってみようかと思ってます。
まずは、同曲初のステレオ演奏として有名な盤。

ジョン・バルビローリ指揮ハレO、1957年録音の演奏です。
この演奏は、Pye原盤のテイチク廉価盤LPを所持しており、もちろんCDも持ってます(Dutton盤)。現在はEMI系の他の演奏と一緒にワーナー盤として入手可能なようです。
弦楽が非常に頼りなく、音が揺れるオケですが、深いポルタメントと揺れるリズム、第1楽章のクライマックス、ファンファーレ後の強烈な追い込みと大きなタメ…、とにかくこれに痺れまくりです。凄いエネルギーの爆発は、オケの器量と録音技術が良ければさらに仰天のパフォーマンスであったことでしょう。

非常に遅いテンポの第2楽章、力強いテンポ運びで歌うリズムと、中間部での甘〜いポルタメントの表現。弦のピッチは荒いがなんか逆に独特の風情があるな。
第3楽章も、笑み言えぬ不安定なコントラバスのソロ。
揺れる弦のピッチはここでも不思議な雰囲気を醸して良いよねぇ。中間部での甘い、甘〜いポルタメント!泣けるなぁ。

終楽章、冒頭の爆発も見事、凄いエネルギーの放出にまた痺れますが、最新録音ならもっと。大太鼓凄い。
白熱度、緊迫度、エネルギー放出度においてこの演奏にまさるものはなかなかないでしょう。やっぱりバルビローリ凄い。
中間部の弦はロマンチックにすすり泣いている…。
終盤への追い込みも強烈で、凄いエネルギーの爆発! 頼りな気味なオケが必死についていく様がありありと浮かびます。
まさに青春の情熱のほとばしりを歌ったとでも言うべき、素晴らしき演奏でした。

この曲を聴き始めた当時、兄の所有も併せて3種のレコードが我が家にはありました。当時の自分的にはワルター、バーンスタインの名盤を差し置いて、圧倒的にこの演奏がベストでした。
posted by にこらす at 15:57| Comment(1) | TrackBack(0) | ネット音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年09月10日

マーラー: 交響曲第1番 テンシュテット

女性指揮者を色々と追っかけていますが、(これまで少なかった)日本人指揮者にも期待の方が現れました。
沖澤のどかさん。
沖澤氏は、かの(小沢さんも優勝された)ブザンソン指揮者コンクール(2019年)に優勝され一躍時の人に…。
今シーズンからは、京都市交響楽団の首席指揮者というビッグポストに就かれていますね。一度実演に接してみたいと思ってるんです。
そういや、沖澤氏は東京藝術大学指揮科卒とのこと。同大学同学科、氏の1期か2期上に娘の同級生がいて、この人も女流指揮者として活躍されていますんです。

Joana Mallwitz.jpg
お写真は音源のページから。

閑話休題。
で、何の話題かというと、(贔屓筋)クリストフ・エッシェンバッハ氏が首席指揮者を務められていたベルリン・コンツェルトハウス管のシェフが交代となったようです。
それが、ジョアナ・モルヴィッツ(Joana Mallwitz)さん。

この方もいずれ違わぬ美形なる女流指揮者さんですが、ドイツ生まれの正統派。
これまでもYouTubeなどにいくつか指揮姿をupされていて、以前より大変注目していましたが、とうとう母国のメジャーオケの首席となられましたね。
そして上記写真下のリンクがその就任コンサートの模様。
メインの曲がマーラー1番でした。
とてもキレが良く、ハツラツとしたマーラー!
第1楽章のファンファーレ後や週楽章終盤の大爆発も超エネルギッシュでありました。聴衆の絶叫もすごくて、期待の若手新人が地元ベルリンに受け入れられ成功を収めつつあることを直感しましたな。

そういうんで、CDも音源もいっぱい持ってるこの曲を連続聞きしたくなり、超弩級の演奏をYouTubeにて掘り当てましたのでちと紹介を。


クラウス・テンシュテットがシカゴ響を指揮したマーラー1番はEMI系列より出ていたライブ録音がありました(1990年)。
で、これについて調べたら、テンシュテットがシカゴ響に客演したのは1990年の1回のみとのこと。このYouTube映像も同年とのことですから、CDと同じ音源であるということですね。
マーラー第1番の決定盤と称されることも多いこのライブ…。

大病を克服された後の指揮姿は少々痛々しくも感じますが、出てくる音楽は、
So Powerful
であって、氏独特の節回しも特に強調されていて非常に重苦しく、重量感のある演奏となりました。そして、ショルティ時代のシカゴ響のパワーです。文句の付け所ない凄いマーラーがそこにありました。
すごい拍手喝采もうなずけますな。
posted by にこらす at 12:35| Comment(2) | TrackBack(0) | ネット音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年08月24日

The Art of Couducting

あれだけ騒々しかったクマゼミの鳴き声もまったく途絶えて、先週に台風が過ぎた辺りからツクツクボウシが鳴いていますね。
こいつは、クマゼミほど数がそんなに多くないからちっとも気にならないです。

今日(8月24日)現在、南の洋上には台風の卵がふたつあって、それぞれ進路予想も出ています。どうか当地には近づかないように願いたい。



YouTubeを何気なく眺めることが多いのですが、ユーザーの視聴履歴からその人の嗜好まで判断して、おすすめの映像をいろいろ出してくれます。余計なおせっかいと思うことも多いけど…。

そんな中見つけた映像を紹介します。
「The Art of Conducting」
これはいくつかのYouTuberからupされているので、ご覧になった方もあるでしょうか。20世紀の大指揮者たちの指揮姿をいくつも拝むことができます。
この映像は、オープニングに「TELDEC」のロゴが見えますので、DVD等で販売されているデータかもしれません。(もし元がDVDのデータだったら)日本では完全にアウトの映像かもしれません。
でも、自分が海外発のデータを個人目的で再生する分には何ら問題はないで解し、ブログに貼り付けます。

冒頭からトスカニーニのハツラツとした指揮姿…。

登場された数多のマエストロの全ては覚えていませんが、
トスカニーニ
フルトヴェングラー
カラヤン
バルビローリ
バーンスタイン
クレンペラー
F. ブッシュ
ワインガルトナー
セル
ワルター
ライナー
クーセヴィツキー
ストコフスキー
R.シュトラウス
etc
中には、ニキシュの映像(音はありません)も流れます。

英語のナレーション、英語、独語のインタビュー、、、自分たちの世代のクラシックファンなら、言葉がわからなくても十分に楽しめますよ。
特に感銘を受けたのが、
ワイガルトナー指揮の「魔弾の射手」序曲。戦前の映像ですがオケの「パリ交響楽団」ちゅーのがあったんですね。
これは思わぬ大編成オケで、すごい音を出していたと想像します。

それと、ブッシュ指揮ドレスデンSKOのタンホイザー序曲、実に興味深い演奏、指揮姿でした。
ライナーは眼光異常に鋭く、いかにも怖そうでした。あ、ハイフェッツと共演のシーンも超貴重です。

もうひとつ気がついた点。
ワルターのリハーサル風景の披露のあと、クレンペラーのインタビューがあったのですが、
「私は彼のようにロマンチックな指揮はできない。かれは詩人(正確に仰ってたのは"novelist=小説家)だからな」
ワルターと自分の演奏スタイルについて、じつに
「わかってらっしゃる」
コメントだと思いましたな。

あとはセルのインタビューがありましたが、これは半分くらいしか理解できず。

自分は、同様の映像集として、
「世紀の指揮者」というのと、
「フルトヴェングラーと独墺マエストロの黄金時代」
というDVDが棚中に持っていました。
これも確認してみたいと思います。

posted by にこらす at 12:25| Comment(6) | TrackBack(0) | ネット音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする